仕事のやる気が出ない時の立て直し方
仕事中、机に向かっても手が止まる。
そんな人に向けて、仕事のやる気が出ない理由と立て直し方を、スマホさんとよはく先生の会話で整理します。

仕事中なのに、全然やる気が出ないんです。これって、私がサボり癖なだけなんですかね…

サボり癖と決めつける前に、原因を整理してみましょう。実は、仕事のやる気が出ない理由の多くは、意志の弱さではないんです。
仕事のやる気が出ないのは、気合が足りないからではありません。
注意力とエネルギーを、仕事以外の何かに先に使ってしまっている状態であることが多いです。
仕事のやる気が出ないとは?よくある状態

そもそも「仕事のやる気が出ない」って、具体的にどういう状態を指すんですか?

パソコンの前には座っているのに手が動かない、頭ではやらなきゃと思っているのに体が動かない、という状態が典型的です。
仕事のやる気が出ない状態には、いくつかの共通したサインがあります。
| 場面 | よくあるサイン |
|---|---|
| 始業直後 | メールやチャットを開いたまま手が止まる |
| 資料作成中 | 少し詰まると、すぐスマホに手が伸びる |
| 会議前 | 準備をする気になれず、先延ばしにする |
| 休憩後 | 席に戻っても、しばらく集中できない |
| 退勤前 | やることが残っているのに切り上げたくなる |
なお、この記事は「仕事」の場面に絞って原因と対処法を扱います。プライベートも含めた「やる気」全般の考え方については、別記事でまとめています。<a href="https://yamerulab.jp/blog/motivation/no-motivation-what-to-do/">やる気が出ないときの対処法</a>
仕事のやる気が出ない状態は、怠けているのではなく、注意力が仕事に向かう前に他のものへ持っていかれている状態です。
仕事のやる気が出ない主な原因

頑張りたくない気持ちが続くのは、私が弱いからだと思っていました。

弱さの問題ではありません。多くの場合、原因は重なって起きています。1つずつ見ていきましょう。
仕事のやる気が出ない原因として、次の3つが重なっているケースがよく見られます。
睡眠不足や休息の質が下がると、気分が上がらない状態が続きやすくなります。
タスクが大きすぎたり期限が遠いと、何から手をつけるべきか分からず動けなくなります。
スマホの通知やSNSに注意力を使ってしまい、仕事に向ける分が残っていない状態です。
「気分が上がらない」「頑張りたくない」と感じるとき、原因を1つに絞り込む必要はありません。ただ、見落とされやすいのが3つ目の、スマホによる注意力の消耗です。次の章で詳しく整理します。
スマホが仕事のやる気を奪っている理由

スマホを見ているのは休憩中や退勤後なのに、仕事のやる気にも関係あるんですか?

大いに関係します。休憩中や寝る前のスマホ利用が、回復のための時間を奪い、翌日の集中力にまで影響することが分かってきています。
仕事中にやる気が出ない背景には、スマホが注意力とドーパミンを先に使ってしまっているという構造があります。通知や新着表示は、意志で無視し続けるには負担が大きく、気づけば手を伸ばしてしまいます。
この点については、研究でも裏付けが報告されています。スマホのモバイルインターネットを2週間ブロックした実験参加者467人を対象にした研究では、持続的な注意力、メンタルヘルス、主観的な幸福感のいずれかが改善した人が91%にのぼったことが報告されています(Castelo et al., PNAS Nexus, 2025)。注意力は有限であり、スマホに使われる分が減れば、仕事に振り向けられる分が戻ってくる、と考えると理解しやすくなります。
さらに、就寝前のスマホ利用が睡眠より優先されがちであることも報告されており(American Academy of Sleep Medicine)、夜のスマホ利用が翌朝の目覚めやその日の集中力に影響することは十分に考えられます。
つまり、「仕事のやる気が出ない」を意志の問題として捉えるのではなく、まず仕組みでスマホとの距離を作ることが出発点になります。距離ができると生活に余白が生まれ、その余白が仕事に振り向けられる力になっていきます。
仕事中にすぐできる立て直し方3ステップ

じゃあ今日からできることって、何かありますか?

3つだけで大丈夫です。切る、離す、決める。この順番で試してみてください。
仕事中はスマホの通知を切る
SNS、ニュース、ゲームなど、仕事に関係のない通知だけでもオフにします。連絡用アプリは残して構いません。
視界と手の届く範囲からスマホを離す
机の上に置かず、引き出しや別の部屋に置きます。存在が見えなくなるだけで、触る回数はかなり減ります。
最初の一歩を小さく決めておく
「資料を作る」ではなく「タイトルだけ書く」など、5分で終わる作業に区切って決めておきます。着手できれば、続きは意外と動けます。
休憩中・退勤後の過ごし方でやる気を守る

休憩中にスマホを見ても、なんだか休んだ気がしないんです。

それは自然な感覚です。SNSは休んでいるようで、実は情報処理をし続けている状態に近いんです。
SNS利用とメンタルヘルス、睡眠の関係を扱った系統的レビューでも、SNSの使い方によっては疲労感や睡眠の質に影響しうることが報告されています(Ahmed et al., Journal of Affective Disorders, 2024)。休憩や退勤後の過ごし方を見直すだけで、翌日のやる気の出方が変わることがあります。
| 失敗しやすい過ごし方 | 起きやすいこと | 直し方 |
|---|---|---|
| 休憩中ずっとSNSを見る | 休んだはずなのに疲労感が残る | 休憩の前半だけ、時間を決めて見る |
| 退勤後もスマホを見続ける | 睡眠時間が削られ翌朝がつらい | 寝る1時間前はスマホを寝室の外に置く |
| 通知が来るたび開いてしまう | 休憩の切れ目が分からなくなる | 休憩中だけ通知をまとめて確認する |
| 何もしない時間が怖い | 空白をスマホで埋めたくなる | 散歩や軽いストレッチを代わりに用意する |
やめるラボが提案する「仕組み化」アプローチ

やめるラボさんは、こういう問題にどう向き合っているんですか?

私たちは「意志を強くする」ではなく「スマホに触れにくい環境を先に作る」ことを大事にしています。
やめるラボの活動には、仕事のやる気が出ないと感じて相談に来る方も少なくありません。話を聞くと、多くの人が「気合が足りない」と自分を責めていますが、実際にはスマホとの距離が近すぎることが背景にあるケースがほとんどです。
そこでやめるラボでは、意志に頼らない仕組み化として、スマホの隔離、画面をグレイスケール表示にする、通知オフ、寝室にスマホを持ち込まない、決めた時間だけ使えるようにするタイムロック、スクリーンタイムの設定パスコードを家族や信頼できる人に管理してもらう、スマホの代わりに紙のメモや散歩などアナログな行動を用意する、といった方法を組み合わせて提案しています。
実践した方からは、「仕事中にスマホを触る回数が減った」「休憩後に切り替えやすくなった」といった声が寄せられており、いきなり劇的な変化というより、少しずつ余白が戻っていく形の変化が中心です。スマホの利用時間を減らす取り組みがメンタルヘルスの改善につながる可能性は、無作為化比較試験でも報告されており(Pieh et al., BMC Medicine, 2025)、仕組みで距離を作るという方向性そのものは、研究の知見とも整合しています。
ここから見えてきた学びは、「頑張ろうとする前に、頑張らなくて済む環境を作る」ほうが、結果的に長続きするということです。
仕事のやる気を出そうとするより、スマホに気力を奪われない環境を先に作るほうが再現性があります。
意志・気合の一般的アプローチと仕組み化アプローチの違い
一般的に語られる「やる気を出す方法」と、やめるラボが提案する仕組み化アプローチには、次のような違いがあります。
| 軸 | 意志・気合の一般的アプローチ | 仕組み化アプローチ |
|---|---|---|
| 目標 | その場でやる気スイッチを入れる | スマホに奪われる時間と注意力を減らす |
| アプローチ対象 | 気持ち・モチベーション | 環境・行動導線 |
| 期間の目安 | 単発、その日限りになりやすい | 数日〜数週間かけて習慣として定着させる |
| 費用感 | ほぼかからない | 無料の設定変更から、必要に応じた有料サポートまで幅がある |
| 実績・成果 | 個人差が大きく再現しにくい | 環境要因を減らすため再現性が期待しやすいとされる |
どちらか一方だけが正しいわけではありません。ただ、気合だけで乗り切ろうとして疲れてしまった経験がある方には、仕組み化アプローチのほうが合っていることが多いです。
「仕事を辞めた方がいい」「休んだ方がいい」と感じたときの考え方
仕事のやる気が出ない状態が長く続くと、「辞めた方がいいのでは」「休んだ方がいいのでは」と考えることもあると思います。ここでは一般的に言われがちなサインを紹介しますが、断定的な判断は避け、心配な状態が続く場合は、上司や産業医、専門家に相談することをおすすめします。
寝つきの悪さや早朝に目が覚める状態が数週間続く場合は、負担が積み重なっているサインの1つとされます。
趣味や食事など、以前は楽しめていたことに関心が持てない状態が続く場合は注意が必要とされます。
頭痛や胃の不調など、はっきりした原因が見当たらない体調不良が続くことも、負担のサインとされます。
これらはあくまで一般的に言われている目安であり、当てはまるからといって、すぐに退職や休職を決める必要はありません。まずは信頼できる上司や産業医、社外の相談窓口に話してみることが、判断を焦らないための第一歩になります。
よくある質問
仕事のやる気が出ない時はどうしたらいいですか?
まずは大きな目標を思い浮かべず、5分で終わる小さな作業だけを決めてください。あわせて、仕事中はスマホの通知を切り、視界に入らない場所に置くと着手しやすくなります。やる気が出てから動くのではなく、少し動くことでやる気が後からついてくることが多いです。
気分が上がらない状態が続くのはなぜですか?
疲労の蓄積、目標の曖昧さ、スマホによる注意力の消耗などが重なっている場合が多いです。特に休憩中や退勤後のスマホ利用が回復を妨げていることは見落とされがちです。まずは睡眠と休憩の質を整えることから始めてみてください。
頑張りたくないと感じるのは甘えですか?
甘えではありません。誰にでも頑張れない時期はあります。大切なのは、その状態を責めることではなく、頑張らなくても前に進める仕組みを作ることです。無理に気合を入れ直すより、負担を減らす工夫を先に試してみてください。
一人だと仕事のやる気が出ないのはなぜですか?
一人だと区切りやフィードバックがなく、着手や継続のきっかけが作りにくいためです。誰かに進捗を共有する、時間を区切って作業するなど、外側から区切りを与える工夫が有効です。
仕事に全くやる気が出ない状態が続くのは普通ですか?
一時的であれば珍しいことではありません。ただし、数週間単位で続き、睡眠や食欲にも影響が出ている場合は、疲労や心身の不調が背景にある可能性があります。無理に気合で乗り切ろうとせず、身近な人や専門家に相談することを検討してください。
仕事を辞めた方がいいサインはありますか?
一般的には、眠れない状態が続く、以前楽しめていたことに関心が持てない、体調不良が長引くといった状態が目安として語られます。ただし、これだけで退職を判断するのは早計です。まずは上司や産業医、社外の相談窓口に相談し、状況を整理することをおすすめします。
仕事を休んだ方がいいサインはありますか?
強い倦怠感や不眠、食欲の変化が続く場合は、休息が必要なサインとされることがあります。断定はできませんが、心配な状態が2週間以上続く場合は、我慢せずに医療機関や産業医への相談を検討してください。
スマホを我慢すれば仕事のやる気は戻りますか?
我慢だけでは長続きしにくいです。通知オフや置き場所の変更など、触れにくい環境を先に作ったほうが、無理なく続けやすくなります。我慢よりも仕組みを整えることを優先してください。
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参考・確認資料
この記事では、スマホ利用・注意力・睡眠・メンタルヘルスに関する以下の資料を確認しています。
- スマホのモバイルインターネット遮断と持続的注意力・メンタルヘルスへの影響
Castelo N, Kushlev K, Ward AF, Esterman M, Reiner PB.「Blocking mobile internet on smartphones improves sustained attention, mental health, and subjective well-being」PNAS Nexus, 4(2), 2025.
https://doi.org/10.1093/pnasnexus/pgaf017 - 就寝前のスマホ利用と睡眠への影響
American Academy of Sleep Medicine「Americans are doomscrolling at bedtime, prioritizing screen time over sleep」
https://aasm.org/americans-are-doomscrolling-at-bedtime-prioritizing-screen-time-over-sleep/ - SNS利用、メンタルヘルス、睡眠に関する系統的レビュー
Ahmed O, Walsh EI, Dawel A, Alateeq K, Espinoza Oyarce DA, Cherbuin N.「Social media use, mental health and sleep: A systematic review with meta-analyses」Journal of Affective Disorders, 2024.
https://doi.org/10.1016/j.jad.2024.08.193 - スマホ利用時間の削減とメンタルヘルスの変化
Pieh C, Humer E, Hoenigl A, et al.「Smartphone screen time reduction improves mental health: a randomized controlled trial」BMC Medicine, 2025.
https://doi.org/10.1186/s12916-025-03944-z
